【導入事例】補助金が使えなかった理由とそこから感じたこと

スイングドアオペレーターの設置依頼の中にひとつ、印象に残る導入事例がありました。
設備そのものの必要性は十分に認められる状況でしたが、補助金が下りず、全額自己負担となってしまったケースです。
目次
曖昧な「適用条件」
今回対象となったのは、身体に障害のある方のご家庭。
奥様ご本人が対象で、制度の適用条件としては十分に該当するように思えました。
実際、最初に提出しようとした時点では「総合的に2級」とされており、補助金の対象となり得るものでした。
ところが申請を進めるうちに、「登録の仕方が制度と一致していない」という理由で一度仕切り直しに。
個別の障害ごとの等級がバラけていたため、再度病院での認定をやり直す必要が生じたのです。
このやり取りだけでも1ヶ月以上かかりました。
再認定のあとにあらためて補助金の申請を行いましたが、結果は不採用(却下)。
これにはご本人も私自身も驚きました。
地域によって対応が異なる
特に今回印象的だったのは、自治体によって制度の運用のされ方がまったく異なるという点でした。
同じようなケースで東京都では、あまり深く問われることもなく、必要書類を提出すればスムーズに補助が認められることがほとんどです。
ところが今回の地域では、何度も説明・再確認を経たうえで、最終的には補助の対象外とされてしまいました。
過去の利用履歴も重要なポイント

制度上の問題だけでなく、もうひとつの可能性として考えられるのが、過去に補助制度を利用していたかもしれないという点です。
補助金には「1世帯につき1回まで」など、利用回数に上限が設けられているケースがあります。
たとえば、手すりや段差解消の工事などで過去に数万円だけ使っていた場合でも、それだけでその枠がすでに消費されていることがあります。
しかもこうした制度は、住宅改修に関するものと、介護保険制度での改修とで管轄や条件が異なるため、制度の全体像を正しく理解するのが非常に難しいのです。
ご本人やご家族が「使ったことがあるかどうか」を正確に把握していないと、こちらでも把握しきれないことがあります。
もちろん、現地での説明や書類の整理、制度の案内などは私たちが可能な限りサポートしています。
今回も現地へ足を運び、詳しく説明を行いました。
しかしながら、ご本人やご家族の中で過去に利用した制度の記憶が曖昧だったり、他の制度との混同があったりすると、結果として補助金が使えないという判断が下されてしまいます。
制度が複雑である以上、本人以上に制度に詳しいべきは、業者側だと感じています。
「売るため」ではなく「負担を減らすために」
補助金についての知識は、うまく使えば非常に助かる制度です。
だからこそ、一部の業者がそれを「売るための道具」として最大限活用するケースもあります。
高額な製品を案内し、補助金で一部がまかなえると説明すれば、実際に契約につながる確率は高くなるかもしれません。
しかし私たちは、「補助金が使えるからすすめる」のではなく、「本人の負担が減るなら一緒に検討する」という姿勢を大事にしています。
たとえ使えなかったとしても、必要であればその設備は提供したい。そして、どの段階でどんな条件がネックになるか、できるだけ分かりやすく説明していきたいと思っています。
制度を活用するには、早めの相談を
今回のケースのように、制度の認定や補助の可否が現場で大きく影響することは少なくありません。
それゆえ、導入を検討している段階で一度相談していただくことが大切だと感じています。
「補助金は使えるのか」
「過去に使ったかもしれないけれど確認できるか」
「別の制度で申請できないか」
このあたりは、最初に一緒に確認しながら進めることができます。
制度の壁に阻まれて諦めてしまう前に、一度私たちにお話ししていただけたらと思います。
執筆者:酒井 将之
代表の酒井です。 10年前にスイングドアオペレーターを知り、この自動ドアに感動しました。この自動ドアをたくさんの人に知らせたいと思い、独立しました。開き扉用の自動ドアの有効性や安全性を含むいろいろな性能について熟知していますので、弊社にご相談いただければ、お客様のご要望に合った使い方でより、コストパフォーマンスの優れたご提案ができると自負しております。ぜひ一度ご相談下さい。




